さて、「おすすめの仏教書シリーズ」と称して、
仏教の学習や理解に役立つ、仏教書を紹介してまいろうかと思います。
おすすめの仏教書は、いくつもあります。
その中でも選りすぐってのご紹介です。
まず今日、おすすめする仏教書は、
「日本の仏教思想―原文で読む仏教入門(著者、頼住 光子)」です。
http://amazon.co.jp/dp/4779302536
なかなか良いですね。
何がよかったかといいますと、
三国伝来の仏教がコンパクトに理解でき、鳥観できる点です。
薄い本なのですが、大変よくまとまっています。
根本仏教から部派仏教、大乗仏教、また中国仏教、韓国仏教、
そして日本の飛鳥、奈良、平安、鎌倉、江戸までの仏教を、
ポイントを押さえながら解説されています。
しかも深く洞察されています。
また、わりと平易な言葉で書いてありますので、
初めての方でも読めると思います。
こうした「分かりやすい良書」は少ないのですが、
頼住 光子さんの「日本の仏教思想」は良書だと思います。
「仏教の教科書」としてもいいくらいです。
ちなみに、「日本の」とありますが、
これはあまり良いタイトルとはいえませんね。
なぜなら、日本のみならず、原始仏教から、
三国(インド、中国、韓国)仏教まで、全ての仏教に言及しているからです。
この本、出版社の「タイトル・ミス」でしょう^^;
書名がふさわしくありません。
もっとも、日本の仏教について、わりと項を割いてはいます。
ですが、「日本の~」と限定しないほうが、
良かったのではないかと思います。
うーん、この辺りの出版事情は、どうなっているのでしょうか^^;
よくわかりませんが。
私的には、「仏教入門書―仏教の全容が分かる」
とされたほうが、購買数も伸びて、良かった気もします。
ところで、本書は、確かに読みやすく、
「入門」という冠にはふさわしいと思います。
ですが、基本的な言葉や概念は、詳しく解説されていません。
ですので、多少の仏教用語を知っておく必要があると思います。
もちろん、仮に専門用語を知らなくても、
ある程度、読みこなすことができると思います。
それでも、仏教辞典を側に置きながら読み進めていきますと、
理解はいっそう深まるかと思います。
この一冊で仏教史と、時代毎の仏教の特徴の要諦を
押さえることはできると思います
この書では、大乗仏教の変容ポイントをいくつかあげています。
これまた分かりやすく、勉学の助けになると思います。
ちなみに大乗仏教では、「瞑想法の欠如」「仏身論の誤り」「仏性の曲解」の3点が
比較的問題視されます。
テーラワーダ仏教と、大乗仏教との論争の点にも
なりやすい箇所かと思います。
私も以前は、これらは問題であると思っていました。
しかし、現在では、大乗仏教もまた正しい見解をされていると
考えるようになっています。
仏身論、仏性は、修行上の意図から
お釈迦さまがあえて言及しなかった点になります。
ですが、時代を経る毎に、お釈迦さまの意図が忘れられ、
そこで大乗仏教は、説明を補足するために、
仏身論、仏性をあえて言い出したのではないかと推察しています。
と、少々話しが逸脱しましたが、著者の頼住光子さんは1961年生まれとあります。
おそらく、机上の学問だけでなく、
ご自身も仏教や倫理を実践されている方ではないかと推察もされます。
「日本の仏教思想―原文で読む仏教入門」は
あまり知られていないと思いますが、
おすすめできる良書です。
仏教全体を理解されたい方には、
おすすめできます。