ポリヴェーガル理論と瞑想・マインドフルネスとの深い関係

小林紀生

2021年12月05日 21:48




◆瞑想ができるようになる「ポリヴェーガル理論」
「ポリヴェーガル理論」というのを教えていただきましてね。

「はて?何だ?ポリヴェーガル理論って?」ということなんですが、マインドフルネスや瞑想が見落としていたところに焦点が当てられています。それは「自律神経のはたらき」を整えて「安心感」を得るというもののようです。

で、端的にいって
・瞑想がうまくできない
・瞑想難民
でお悩みの方には、解決できる一つになると思います。その理由は、以下に書いてまいります。




◆ポリヴェーガル理論とは?~自律神経を3つに分ける
「ポリヴェーガル理論」とは簡単にいえば自律神経を整えて安心を得る理論とワークであるとか。くわしいことは専門の書籍をご覧になるとよいかと思います。

が、簡単にいってしまえば、従来の「自律神経」の考えでは、
・交感神経
・副交感神経

の2つだけでした。
しかしポリヴェーガル理論では自律神経の働きを3つに分けています。それは
・交感神経
・背中の副交感神経
・お腹の副交感神経

ですね。
副交感神経を「お腹」と「背中」に分けているのがミソです。従来の自律神経の概念にはない考えです。もしかすると中医学(気功)の任脈と督脈からヒントを得たのではないかと思います。
 

◆自律神経には4つの働きがある
で、さらに自律神経には4つの働きがあるとしています。それは、

◎安心、平和
・背中の副交感神経・・・ゆるむ、リラックス、休息する
・お腹の副交感神経・・・人とつながる、誰かといることで安心する
 
◎ピンチへの対応
・交感神経が活発・・・戦う、怒る、批判、攻撃、逃げる、不安
・背中の副交感神経がフリーズ・・・うつ、罪悪感、自己否定感、感覚マヒ

といいます。


◆背中の副交感神経がフリーズする
中でも驚いたのが「背中の副交感神経がフリーズする」という現象です。

戦うことも逃げることもできなくなるくらいに追い詰められると、本来適度なリラックスを司る「背中の副交感神経」は極端なリラックス状態を招いて、機能低下、低エネルギー、活動低下状態にしてしまうといいます。
 
で、これが常態化すると、うつ、不活発、自己否定感、罪悪感などの低活動・ネガティブ状態を引き起こすといいます。

さらに感覚のマヒ、適度にリラックスできなくなる、疲れが抜けなくなる、不眠などの身体症状となって出ていまうと。

「背中の副交感神経がフリーズする」というのは初めて知りましてね。で、「まんざらではない」と思います。目から鱗ですね。


◆瞑想ができない・わからない理由が明らかに
で、「背中の副交感神経がフリーズする」と低活動になるだけでなく感覚もマヒしてしまいますので、
・リラックスできなくなる
・瞑想がわからなくなる
・ヒーリングを受けてもわからなくなる
・シャバアーサナの効果も感じられなくなる

といったことが起きるんだなあとわかった次第です。

で、以前から
・瞑想がわからない
・瞑想ができない
・感覚がわからない
・心がみえない(わからない)
・気功がわからない
・ヒーリングを受けてもわからない
・瞑想をしていても何をやっているのかわからない

といったお悩みを聞くことがありました。当時は「え?」としか思えず、むしろ「どういうことなのかなあ」と思っていましてね。

で、こうした理由に「背中の副交感神経がフリーズしている」というのがあったわけですね。新しい発見であり、気づきです。


◆瞑想ができない・わからない新たな理由
で、瞑想などができない理由を整理しますと、

・思考が非常に強い(思考ドップリ)
・スピリチュアルや空想、妄想を非常に好む(妄想ドップリ)
・性格に非常にクセがある(交感神経が昂じている)
・感覚がマヒしている(副交感神経がフリースしている)

とまとめることができるかと思います。


◆背中とお腹の副交感神経を適切にするワーク
で、ポリヴェーガル理論では、副交感神経の力を回復させるといいますか、適切にするワークがあります。で、これがメインになるようです。

やり方はシンプルです。
1.最初は「背中の副交感神経」を適切にします。

2.次に「お腹の副交感神経」を適切にします。

以上ですね^^
わかりやすい。
誰でもできます。
で、効果がありそうです。

ちなみにこれらのワークは、お腹の気功である「チネイザン」や、中先生が重視している「腎臓の気功」にも通じます。


◆マインドフルネス・瞑想が見落としていた観点
シンプルなワークですが、理に適ったワークです。気功でも取り入れられている効果の高いワークです。

「理論」とかいっていますが、理論的なことに深く立ち入るよりも、シンプルな理解とともにワークを実践していくことが大事じゃないかと思います。

コンセプトをさらーっと理解できたならば、あとはシンプルなワークを続けていくことですね。

そうすればリラックス・安心が培われると同時に、いい塩梅で感覚が開けて、瞑想もできるようになるんじゃないかと思います。

で、副交感神経がフリーズするというのは、マインドフルネスや瞑想が見落としていた、いえうまく言語化してこなかった・できなかった領域だと思います。

私も非常に学びになっています。


◆瞑想の適切さ・不適切さを説明できる
しかしポリヴェーガル理論は、一つの説明手段であり、表現ツールですね。が、瞑想における体感を科学的に説明することもできます。たとえば瞑想の状態を、

◆春の日のようにあたたかく、やわらかく、ゆるゆる、ほっこりとなる・・・副交感神経が適切

◆沈む込み、気分が滅入る、一見すると集中、瞑想が深くなったように感じる、枯れ木、うつっぽくなる、反応が鈍くなる・・・副交感神経がフリーズ

◆過緊張、ガンバリズム・・・交感神経が高ぶる

このように、神経の状態と組み合わせて説明することができます。で、これは以前から感じていた瞑想の有り様を、科学的に説明できますので便利です。

ちなみに瞑想時で、死角になりやすいのが、リラックスが深くなりすぎて(力んだり意識し過ぎてリラックスしようとすると)、沈み込むことが出てくることですね。で、意外と、この状態を「瞑想が深くなった」と思いやすいのですが、実は惛沈(こんじん)という沈み込みです。

また惛沈に陥ると「反応が鈍くなる」んですが、これを「サティが効いてきて瞑想が進んだ」と勘違いすることも起き得ます。

瞑想を行って、気分がなんか沈む、不活発になる、ヤル気が落ちる(これを欲が無くなったと勘違い)、というのは副交感神経がフリーズ(緊張)しているケースが多くなりますので、注意が必要だと思います。で、こういう瞑想を続けていくのはよくないんですね。

で、こうした瞑想の適切さ・不適切さを、ポリヴェーガル理論では神経の側面から説明できますので、説得力が出てきますし、理解もしやすくなると思います。


◆安心のタネの育て方
「ポリヴェーガル理論」とワークのことは、浅井咲子さんの「安心のタネの育て方」がおすすめです。

https://amazon.co.jp/dp/480476366X

こちらにはシンプルなワークが47種類紹介されています。難しいことは書いてありませんので誰でもわかりますし、取り組むことができると思います。

瞑想ができる方でも、ぜひぜひ取り入れたほうがいいんじゃないかと思います。より深いリラックスが得られて、安心、ほっこり、ゆるっとした感じになるんじゃないかと思います(^o^)


◆大事なあたたかさ・やわらかさ・おだやかさ・心地よさ・ひろがり
繰り返しになりますが「あたたかさ・やわらかさ・おだやかさ・心地よさ・ひろがり」といった感覚は大事ですね。瞑想をはじめて、こうした感覚になることもまた大事かと思います。

もちろん瞑想の状態にとらわれることは望ましいことではありませんが、こうした感覚は「善」「徳」の感覚ですし、この先に禅定などの深い瞑想状態がおのずと起きやすくなると思っています。

深い瞑想にも「ポリヴェーガル理論」のコンセプトは役に立つんじゃないかと思います。

もっともポリヴェーガル理論は、神経の側面からの上手な説明の一つになると思います。こうした「ツール」は、その観念的体系にハマりますと、杓子定規にあてはめたり、教条的な使い方になってしまうこともありますので、その点は注意が必要ですね。このことは仏教の教えも含めて観念的なもの全てに言い得ることです。
 
適切な瞑想からは安心感・おだやかさ・広がりが生じてきますが、これは自律神経からも説明ができるとうことでもあると思います。








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