気付きの瞑想・マインドフルネス・あるがまま【浜松市】

原始仏典はブッダ在世当時のお話しが伝承されています。
が、あんまり知られていない在家向けのお話しに
「ブッダが説いた成功法則」があります。

この言い回しは、ちょっと奇をてらった言い方ですけどね＾＾；
ま、現代的な表現ですね。

で、このお話しは「パーリ増支部経典 四集 第二 適切業品６１」にあるお経です。
このお経にある話しを、現代風に要約してかいつまんでいいますと、次の通りです。


【金運】お金・財に恵まれる
【仕事運】仕事が順調で地位・名声に恵まれる
【健康運】健康・長寿に恵まれる
【死後運】死後、善い人間か天界へ生まれ変わる

これら全てをかなえることは希であり難しいとしながらも、
これら全てをかなえる方法があるとしています。
それは

【信】清らかで澄んだ心であり続ける
【戒】倫理道徳をほどよく守る
【施】ほどこしをする、気前よくする
【慧】心を観察し、悪い心に染まり続けない

この４つであるといいます。


で、見て分かるとおりですね。
現代の成功法則であるアファメーションとは違っています。
成りたい自分のイメージを想像して、
それが達成したと感じるイメトレ、アファメーション。
ブッダのは、こういうやり方とは違います。


また見た目の行為の良し悪しで善行・悪行を決める
中国系の道徳（積徳）ともちょっと違いますね。

ちなみに中国の代表的な道徳実践（善行・積徳行）に
「陰隲録（いんしつろく）」というのがあります。

「陰隲録」ちは中国版の成功法則です。

で、陰隲録では「功過格（こうかかく）」という
「善行・悪行」のリストに基づいて、善行の得点を出していきます。

具体的にいいますと、行為の善悪に得点を付けるんですね。
で、善行から悪行を差し引いた得点を出し、善行の得点を増やしていきます。

で、ある得点に至るとステージクリヤーです。
ある善行為ができましたよ。
徳を積みましたよ。
といった具合。

今でいう「ＲＰＧ」感覚でできる善行・積徳行なんですね＾＾；
ゲーム感覚。
なのでわかりやすいんですね。

ゲーム感覚でできますので、初めて善行にトライするには、
取り組みやすかったりします。

が、見た目の行為にウェイトを置いたやり方になりがちなんですね。
でも、わかりやすい。
こういうのは、中国人らしい発想といいますか＾＾；


ところがブッダは、陰隲録とは違います。
行為の良し悪しもさることながら、
心のきよらかさと、行為における動機のきよらかさを重視して、
それを「善行」「徳」としています。

行為もさることながら、動機としての心の様を重視。
これがブッダの根本の教え（仏教は心を浄める教法）とつながってきます。

なのでただじっと座っている瞑想も尊い善行になるわけですね。
また上記の教えでも「心を観察する」智慧が入っているという塩梅ですね。
奥が深いです。


ただ注意も必要です。
「動機」のみを重視してしまうと、リアルの行為をおろそかにしてしまい、
心さえ清らかであれば、ほとんど何もしない人になってもいいんだ
みたいな誤解を招く場合も。

で、こうした誤解に基づいてしますと、
いわゆる「小乗」と揶揄されてしまうんじゃないかと思います。

「テーラワーダは小乗なので社会への働きかけはしない」とか、
「利他や社会融和は大乗の精神である」とか、
そういう勘違いも起きてしまうんじゃないかと思います。

そうではなくて、ブッダは行為の善行もさることながら、
心の様、動機を重視したということですね。


ブッダの成功法則は、澄んだ心や、誠意・誠実性を据えている点に特徴があります。
見た目の行為や結果よりも、心の様や経過を重視するのがブッダの教え。

で、このことは何も成功するためのアドバイスに納まるだけでなく、
「瞑想」が加われば、ダンマになります。

こうした構造から、ブッダの方法は、
いわゆる現世での幸せも実現できながら、悟りをも実現できる、
そんなシステムになっていることもわかってくるかと思います。

もちろん深い領域にいけば、もっと精妙でシャープな感性が
要求されてくることは言うまでもありませんが、
いわゆる幸福と悟りの両方をも実現できる
方向性や構造を有しているということですね。
安全なやり方でもあります。

輪廻しながら悟り行を続けていく中で、天界並の幸福を享受しながら、
恵まれた諸条件の中で悟りの実践行を続けていくこともできます。
ブッダの修行方法は、よく出来ていると思います。


というわけでして「ブッダが説いた成功法則」。
こうした話しも勉強会でしています。